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AI特集第2弾はオムロン株式会社です。
先端技術を駆使したイノベーションを取り組むオムロン株式会社・京阪奈イノベーションセンタ・技術知財本部人事担当池田さんに京阪奈イノベーションセンタについて聞いてみました。

 

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京阪奈イノベーションセンタでは、どのようなミッションに取り組まれているのですか?

オムロンは、常に独自技術を進化させながら、新しい事業領域を開拓してきました。
オムロンの長期ビジョン「Value Generation 2020 (略称:VG2020)」を策定し、技術本部は「イノベーションを起こす技術構築に注力し、社会課題を解決する」ことをミッションに、“Sensing & Control +Think”技術で人と機械の関係を革新し、ワクワクする未来を創る!プロフェッショナル集団を目指しています。

オムロンでは、どのような背景でAI(人工知能)領域に注力され、最先端のテクノロジーを用いて、どのような展開をお考えですか?ビジョンをお聞かせください。

成長構造の確立に向けて、以下のテーマ設定を行っています。
① 2030年を視野に入れた新たな価値を創造するS&C+Think技術構築(フラッグシップテーマ)
② 既存商品の革新に寄与する技術構築(既存事業のイノベーションテーマ)
いずれにしてもその実現には、オープンイノベーションを活用した開発のスピードの飛躍的向上を狙っていく必要があります。
オムロンは、世の中のニーズ/シーズの潮流を先取りする中で、将来の成長につながる3つの機会に着目しています。
1.「ものづくりが変わる」 :ロボットの本格普及により、人と機械とロボットが協調して働く世界
2.「人の理解が重要になる」:体と意識と行動の内部にある情報が価値を生む世界
3.「モノの理解が重要になる」:人間の能力や従来センサの限界を超えた物の情報が価値を生む世界
「我々の働きで、我々の生活を向上し、よりよい社会を創りましょう!」という社憲に込められた思いを実現していく中で、AIの領域はますます広がると想定しています。

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オムロンでAI領域に関する近年の実績や現在進められているプロジェクトに関してお聞かせいただけますか?

オムロンで特に注力する領域は、人と機械の協調・融和を実現してくれるAI/ロボット制御の領域となります。
ロボットがFAの現場では、「ものづくり」のシーンを変え、モビリティの領域では、「ドライバモニタリング」を中心に安全、安心の領域を広げ、健康分野の中では、「常時モニタリング」の世界を日常生活に組み入れていきます。
各々のシーンで、AIが人の制約を超え、情報ネットワークを縦横無人に動き回る世界を見せてくれると期待しています。メンテナンスという概念を人体に置き換えて議論できる世界観は、この技術領域抜きには語れません。
将来皆さんが体感するウェアラブル・デバイスは、現場状態の「見える化」にもなり、身体メンテナンス機能の「指針」にもなるでしょう。
「人理解/モノ理解を支える」キーテクノロジーは、我々の目指す未来像を実現してくれると信じています。

世界レベルで競争が激化しているIOT、AI領域において、オムロンの強みは何ですか?

「ものづくり」「モビリティ」「ヘルスケア」「社会システム」分野に中核技術が横断的に展開できるのが、我々の強みです。一つの技術を応用展開させていくのもメリットですが、失敗経験を次に活かし、汎用させていくしなやかさも合わせ持っています。
センシング&コントロールを複数のシーンにぶつけてみて、事業領域を広げてきたのがオムロンの強みです。
我々のソーシャルニーズの創造はそうやって生まれてきたものと自負しています。それは、成功体験を更に昇華させ、失敗体験を次の成功体験の学びに変えていくタフネスさがあるからです。

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研究開発を志す方は大学などの研究機関での仕事を志す方も多いと思いますが、ビジネスのフィールドにいる貴社で仕事をする魅力はなんでしょうか?

社会への還元をビジネスチャンスと捉え、自己成長を企業の成長に擦り合わせることが魅力ではないでしょうか。大きな違いは、社会課題をミッションとし、技術を手段として考えることができるかではないでしょうか。
手持ちの実験結果を大事にし、データの向こう側を見つめ、数字そのものではなく、数字が語ろうとしている背景や本質を読み取ることが何より大事です。
企業の意思決定プロセスの強化・改善には、素材となるデータは欠かせません。多くのデータから、より賢明な選択・判断のためのデータを抽出してアウトプットしていく難しさがありますが、その課題を攻略していく楽しみに変えていく発想の転換が求められます。
データ・パラドックスになっている現状を、賢く洗練された技術に置換して未来社会に活用させていく醍醐味はビジネスシーンでしか味わえないものかもしれません。

「AI=IT関連企業!?」というイメージを持った方も多いと思うのですが、貴社のようなメーカーと比べるとどんな違いがあるのでしょうか。

「顧客価値を究める、顧客の期待を超えた満足度を提供する」ための問いを立てる機会は多いと思います。
我々技術者が陥りやすい勘違いは、「自分たちの最高の技術をユーザーに届けることがすべてだ」と思い、「自分たちが顧客に何を提供したいか」というところから発想してしまっていることだと思っています。
発想の原点に「顧客さえ気づいていない、本質的な欲求は何か?」「今は見えていない将来の顧客は、何を求めるだろうか?」という発想の転換が必要になってきています。ここが一番の差異化ポイントです。
我々は、現実世界を経験しながら物事を「理解」していきますが、IT技術は現実世界を経験できなくとも、機械が機械なりの方法でアプローチしてくれます。
オムロンのドメイン(産業、社会・生活、健康)の中で、IT技術の展開を考察していく中で、人と機械(データ)の融和を考えているのは我々の特徴なのかもしれません。

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国内外のさまざまな業界にいるライバル企業と比較したとき、貴社はどのような特徴がありますでしょうか?

オムロン創業者の立石一真が唱えた企業哲学「機械にできることは機械にまかせ、人間はより創造的な活動を楽しむべきである」というのがあります。
どこまでが技術の領域でカバーできるかを真剣に議論しながら、真摯に社会と向き合うことが大切だと感じています。我々は、ビッグデータを集めてもよいかどうかを適切に判断するための「価値基準」を作りこむことに注力しています。単なる「情報管理」ではなく、しっかりとした倫理観と社会観に寄り添い、「人と情報の関係管理」まで踏み込んで議論できる「データ・サイエンティスト」でありたいと思います。
別の言い方をすれば、ビッグデータや人工知能の活用について深く探究すればするほど、未来の人間の価値観に向き合わざるをえないということです。2030年のフラッグシップ実現という活動を楽しみながら社員も自己成長していきたいと考えます。

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AI特集 ~Vol,1 パナソニック編~
AI特集 ~Vol,3 オムロン編 エンジニアインタビュー~

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